エアードライヤーの選定
エアードライヤーの役割
以下の内容は店長日記でも紹介しました。
=====================================
さて、寒暖の差が激しくて雨が多かった5月が終わり、6月になりました。今年の5月は、稀にみる天候不順で、体調を崩された方も多かったのではないでしょうか?
今週に入ってからは晴天の日が続いていますが、
6月中旬からは、蒸し暑くてジメジメした梅雨の季節に入ると思われます。
実はこの時期、エアー(圧縮空気)にもドレン(主な成分は水)が混じり、”ジメジメ”してきます。
その為、この”ジメジメ”したエアー(圧縮空気)で動作する機械の故障や不良が増えます。
みなさんもご存知のように、大気には水分が含まれています。
高温になると水分の含む量が飛躍的に多くなるのです。
ご参考までに下の図をご覧ください。
▲湿り空気線図といいます。
拡大した「湿り空気線図」はこちら。(PDFデータ)
省エネルギーセンターのホームページに掲載されています。
いかがでしょうか?
例えば、
水分の多い(つまり湿度の高い)空気を0.69MPaGまでに圧縮したとします。
そうすると体積は1/8になり、水分は8倍になります。
また、圧縮する時に出る”圧縮熱”等で温度がさらに上昇してしまうのです。
小さいコンプレッサーの場合でしたら、エアーフィルターでドレンを取り除きます。
しかし、フィルターは水になったものは取れますが、水蒸気の状態でいる水分は取れません。
フィルターで取った後、末端でまたドレンが出てくる場合があるのも、これが原因です。
では、どうしたらよいのでしょう?
根本的に水分を除去しなければならない時には、エアードライヤーで除去するが望ましいです。
エアードライヤーには、冷凍式と膜式、吸着式(モレキュラシーブ 活性アルミナ等で吸着する)の3法式があります。
エアーの質を重要視される方には、そのグレードについて、
各々ご相談も承っています。
ちなみにオリオン機械から、こちらに合う商品が発売されましたので、近々ご紹介していきたいと思います。
▲「ドレン&エアードライヤー注意点」を一覧表示しました。ご参考下さい。
=========================================
■冷凍式エアードライヤー:標準入気温度対応型の商品はこちら
■冷凍式エアードライヤー:高入気温度対応の商品はこちら(←レシプロコンプレッサーの方におすすめ)
エアードライヤーの選定方法・選び方
目次
エアードライヤーとは
エアードライヤーとはコンプレッサーでつくられた圧縮空気の中に含まれる水分(ドレン)を除去し、圧縮空気を乾燥させるため機器です。
空気中には水蒸気、ホコリ、ゴミ、花粉、砂が有ります。
フイルターでゴミ、ホコリ等の大きい物は除去されますが、水蒸気等の微細な物はエアーコンプレッサーでは0.69MPa(メガパスカル)に圧縮された空気は、体積が1/8になります。
大気の約8倍の濃度で含有しています。
よって、これらの不純物を除去するのがフイルターやエアードライヤです。
水分除去にはフイルターも有りますが、より効果的に水分除去するにはエアードライヤです。
水分、不純物を含んだ圧縮空気をそのまま使用すると、機器の動作トラブルになります。
例)電磁弁、エアーシリンダ―、エアーモーターの動作不良になります。
エアードライヤーを用いることで、製造工程において重要な3つのメリットが得られます。
1
エアー工具・機械のトラブル・動作不具合・腐食・劣化の防止
圧縮空気中の水分が原因で生じるエア工具や機械のトラブルを防ぎます。
特にエアシリンダーやバルブ、電磁弁などが錆びてしまい、動作不良や腐食、劣化が進むことを抑制します。
2
配管の腐食防止
水分(ドレン)が配管システムに残ると腐食や、漏れ、破損を防ぎます。
3
不良品の削減
湿度の高い圧縮空気や水分(ドレン)が製品に直接かかると、製品の品質低下・不良品など悪影響を及ぼします。エアードライヤを使うことでドレンが引き起こす品質問題を減少させることができます。
塗装作業では水滴が塗膜をはじき、塗装作業を一からやり直さなければならないケースもあります。
このようなトラブルの解消のため、一般的にドライヤーを設置します。
エアードライヤの種類
エアードライヤーは様々な用途や機能に応じて多種多様に設計されています。その主な種類と特徴を紹介します。
冷凍式エアードライヤー
熱交換器で圧縮空気を冷やし結露させて除湿する。
膜式エアードライヤー
膜で水分を分離除去する。
吸着式エアードライヤー
吸着剤に水分を吸着させる。
【1】冷凍式エアードライヤー
最も一般的に使用されているエアードライヤーです。
熱交換器で圧縮空気を冷やし、結露させて除湿します。
【仕組・構造】
圧縮空気がドライヤーに入ると、まず前冷却器で冷却され、二次熱交換器で冷媒により強力に冷却されます。
この過程で水蒸気が水滴に凝結し、分離器で空気から分離されてオートドレンを通じて排出されます。
最終的に、再熱器で温め直された空気は、凝結を防ぐため適切な温度に調整されて吐出されます。
冷凍式エアードライヤーのランキング
【2】膜式エアードライヤー
膜式ドライヤは中空糸膜を用いて圧縮空気から水分を分離し、フロンレスで低露点の圧縮空気が供給可能な為、超乾燥した圧縮空気を生成します。コンプレッサーに冷凍式エアードライヤーを設置しても末端でドレンが発生する場合や、さらに低い露点を求める際に効果的です。
【仕組・構造】
膜式エアードライヤーは、水蒸気を取り除くために「酸素や窒素を非常に透過しにくく、水蒸気は透過しやすい」高分子材料を使用しています。この材料で作られた中空糸膜フィルターの内側に圧縮空気が通ると、水蒸気が膜の外に排出され、出口側には乾燥した空気が得られます。
【3】吸着式エアードライヤー
吸着式エアードライヤーは、圧縮空気中の水蒸気を吸着剤(乾燥剤)によって吸着除湿します。
冷凍式エアードライヤーとは異なり、フロンレスで低露点の圧縮空気が供給可能です。
吸着剤の再生は除湿された圧縮空気の一部を通して行います。
A筒:再生 (吸着剤乾燥)
B筒:吸着 (圧縮空気除湿)
空気入口から入った圧縮空気は、吸着筒Bに流れ、吸着除湿されます。
吸着除湿された空気の一部は吸着筒Aに流れ、エキゾーストバルブを通じて外に排出されます。
A筒:昇圧
B筒:吸着
A筒の再生工程を終えると、エキゾーストバルブを閉じ、吸着筒A内の圧力を昇圧させます。
A筒:吸着
B筒:再生
吸着筒Aの昇圧が終了すると、吸着筒AとBの役割を切り替えます。
一連の動作を繰り返し行うことで、圧縮空気を吸着除湿します。
冷凍式エアードライヤ(オリオン機械)の選定ポイント
温度条件(入気温度、周囲温度)
入気温度
入気温度とは、コンプレッサーからドライヤに入ってくる圧縮空気の温度の事。
入気温度が50℃よりも高い状態で、
標準入気タイプ(RAXタイプ)を使用すると、高圧カットが働いて、ドライヤが停止してしまいます。
そして末端に水(ドレン)が発生し、エアー機器等のトラブルにつながります。
入気温度が高い場合は、高温入気タイプ(RAX SEタイプ)を選んで下さい。
周囲温度
周囲温度とはエアードライヤーを設置する周囲の温度の事。
仕様では標準入気タイプ(RAXタイプ)、高温入気タイプ(RAX SEタイプ)どちらも、2~40℃までとなっていますが、なるべく涼しく、風通しの良い設置して下さい。
なぜなら、空冷式のエアードライヤーは、周囲の空気で熱交換器を冷やすからです。
その為、周囲温度が高いと、入気温度と同じで、ドライヤが停止するなどのトラブルが起きます。
お客様の中には、設置場所がなくて、ボイラー等の近くにコンプレッサーやエアードライヤーを設置している方もいらっしゃいます。
この場合は、周囲温度が高くなりやすく、ボイラーの粉塵(ボイラーの種類にもよります)なども影響してドライヤが停止しやすくなります。
コンプレッサーの圧縮方法
スクリューコンプレッサーをお使いの場合は、コンプレッサー内にアフタークーラーが付いている為、入気温度が比較的低いです。
ただし、夏場の周囲温度が高いと冷えにくい事がありますので、余裕を見るなら、高温入気タイプ(RAX SEタイプ)をお使い頂くと良いです。
レシプロコンプレッサーの場合は、アフタークーラーが付いていません。
そのため、高温入気タイプ(RAX SEタイプ)をおススメします。
中圧仕様のコンプレッサーをお使いの場合は、1.57MPaまで対応可能な、中圧対応タイプ(RAX-H)をご使用下さい。
冷凍式エアードライヤーとは?
コンプレッサーでつくられた圧縮空気の中に含まれる水分(ドレン)を取り除き、乾燥した空気をつくるための機械です。
エアードライヤーを使うことにより、ドレンによる機械の寿命低下や配管の腐食などのトラブルを防ぎます。熱交換器で圧縮空気を冷やし結露させて除湿します。
コンプレッサーの出力、圧力
コンプレッサー出力
お使いのコンプレッサーの出力(kw)に合わせてお選び下さい。
対応したコンプレッサーよりも小さな能力のドライヤは選定しないで下さい。
1サイズ大きい能力のタイプを選定するのはOKです。
コンプレッサー出力別一覧
コンプレッサー出力 | 標準入気対応 | 高温入気対応 | 中圧対応 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
0.75~2.2kw | RAX3J-A1 単相100V RAX3J-A2 単相200V |
RAX3J-SE-A1 単相100V RAX3J-SE-A2 単相200V |
RAX3.7J-H-A1 単相100V |
|||
2.2~3.7kw | RAX4J-SE-A1 単相100V RAX4J-SE-A2 単相200V |
|||||
3.7~5.5kw | RAX6J-A1 単相100V RAX6J-A2 単相200V |
RAX6J-SE-A1 単相100V RAX6J-SE-A2 単相200V |
RAX7.5J-H-A1 単相100V |
|||
7.5kw | RAX8J-A1 単相100V RAX8J-A2 単相200V |
RAX8J-SE-A1 単相100V RAX8J-SE-A2 単相200V |
||||
11kw | RAX11J-A1 単相100V RAX11J-A2 単相200V |
RAX11J-SE 三相200V |
RAX15J-H-A2 単相200V |
|||
15kw | RAX15J 三相200V |
RAX15J-SE 三相200V |
||||
22kw | RAX22J 三相200V |
RAX22J-SE 三相200V |
||||
37kw | RAX37J 三相200V |
RAX37J-SE 三相200V |
||||
55kw | RAX55J 三相200V RAX55J-W 三相200V |
RAX55F-SE 三相200V |
||||
75kw | RAX75J 三相200V RAX75J-W 三相200V |
RAX75J-SE 三相200V |
||||
100kw | RAX90J 三相200V RAX90J-W 三相200V |
|||||
125kw | RAX120J 三相200V RAX120J-W 三相200V |
|||||
150kw | RAX150J 三相200V RAX150J-W 三相200V |
|||||
200kw | RAX190J 三相200V RAX190J-W 三相200V |
|||||
240kw | RAX240F 三相200V RAX240F-W 三相200V |
|||||
300kw | RAX300F-E 三相200V RAX300F-WE 三相200V |
|||||
380kw | RAX380F-E 三相200V RAX380F-WE 三相200V |
|||||
450kw | RAX450F-WE 三相200V |
単相100Vエアードライヤ一覧
コンプレッサー出力 | 標準入気対応 | 高温入気対応 | 中圧対応 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
0.75~2.2kw | RAX3J-A1 単相100V |
RAX3J-SE-A1 単相100V |
RAX3.7J-H-A1 単相100V |
|||
2.2~3.7kw | RAX4J-SE-A1 単相100V |
|||||
3.7~5.5kw | RAX6J-A1 単相100V |
RAX6J-SE-A1 単相100V |
RAX7.5J-H-A1 単相100V |
|||
7.5kw | RAX8J-A1 単相100V |
RAX8J-SE-A1 単相100V |
||||
11kw | RAX11J-A1 単相100V |
200V(単相・三相)エアードライヤ一覧
コンプレッサー出力 | 標準入気対応 | 高温入気対応 | 中圧対応 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
0.75~2.2kw | RAX3J-A2 単相200V |
RAX3J-SE-A2 単相200V |
||||
2.2~3.7kw | RAX4J-SE-A2 単相200V |
|||||
3.7~5.5kw | RAX6J-A2 単相200V |
RAX6J-SE-A2 単相200V |
||||
7.5kw | RAX8J-A2 単相200V |
RAX8J-SE-A2 単相200V |
||||
11kw | RAX11J-A2 単相200V |
RAX11J-SE 三相200V |
RAX15J-H-A2 単相200V |
|||
15kw | RAX15J 三相200V |
RAX15J-SE 三相200V |
||||
22kw | RAX22J 三相200V |
RAX22J-SE 三相200V |
||||
37kw | RAX37J 三相200V |
RAX37J-SE 三相200V |
||||
55kw | RAX55J 三相200V RAX55J-W 三相200V |
RAX55F-SE 三相200V |
||||
75kw | RAX75J 三相200V RAX75J-W 三相200V |
RAX75J-SE 三相200V |
||||
100kw | RAX90J 三相200V RAX90J-W 三相200V |
|||||
125kw | RAX120J 三相200V RAX120J-W 三相200V |
|||||
150kw | RAX150J 三相200V RAX150J-W 三相200V |
|||||
200kw | RAX190J 三相200V RAX190J-W 三相200V |
|||||
240kw | RAX240F 三相200V RAX240F-W 三相200V |
|||||
300kw | RAX300F-E 三相200V RAX300F-WE 三相200V |
|||||
380kw | RAX380F-E 三相200V RAX380F-WE 三相200V |
|||||
450kw | RAX450F-WE 三相200V |
エアードライヤの導入事例
実際にエアードライヤが使用された事例をピックアップしてご紹介します。
ご購入が多い業種
よくあるお問合せ・お悩み
- 自分のコンプレッサーに適したエアードライヤを選定してほしい
- コンプレッサーから水が出るので購入したい。
- 付属品や配管も含めて購入したい。
- 更新したい、など。
- 弊社ではフロン回収も行っております。ご購入して頂いたお客様で、必要でなくなったドライヤーは引取り致します(フロン回収費用含む)。
- ご購入後の修理依頼は当店で承ります。当店には、オリオン機械で研修を受けたサービス員がいます。修理が必要な場合(有償)は当社まで送って下さい。修理いたします。また、全国各地に営業所・サービス拠点がありますので、メンテナンスも安心です。
▲「ドレン&エアードライヤー注意点」を一覧表示しました。こちらもご参考下さい。
エアードライヤー購入後の点検・お手入れ
空冷の
ドライヤの場合、熱交換器をエアーで掃除すると、性能が長持ちします。 また、空気で冷やす為、暑い夏になると、止まりやすくなります。換気を十分に気を付けて下さ い。 冬は冬で、凍結が心配になります。 |
点検の箇所 | 点検の項目 | 点検時期 | 備考 | |||
毎日 | 1週間毎(60時間毎) | 1ケ月毎(250時間毎) | 4年毎(12000時間毎) | |||
全体 | 異常音・異常振動などの有無 確認 | ○ | 異常ある場合は当社に連絡 | |||
蒸発圧力計 | 指針の状態確認 | ○ | ||||
オートドレントラップ | 作動確認(毎日)分解清掃(1週間毎) | ○ | ○ | 異常がある場合は交換 | ||
凝縮器 | フィルタ表面の清掃 | ○ | ||||
凝縮器用フィルタ | フィルタ表面の清掃 | ○ | 清 掃は必要都度 | |||
電気部品・スイッチ・計器類 | 端子接続部緩み・接点摩擦・配線被覆損傷の有無確認 | ● | 異常ある場合は交換、または修理 | |||
熱交換器 | エアー漏れ・冷媒漏れの有無確認 | ● | 異常ある場合は交換、または修理 | |||
冷媒回路 | 冷媒漏れの有無確認 | ● | 異常ある場合は交換、または修理 |
注意)
1、○印は、お客様に実施し
て頂く項目です。
2、●印は、弊社にご連絡下さい。
3、使用状況によりエアードライヤーの寿命が著しく短くなる場合があります。その場合は上記の整備基準に達
する前に清掃、交換が必要になります。
(粉塵の多い場所、腐食性ガスがある場所、周囲温度の高い場所等)
4、点検時期は保証期間ではありません。
※オリオン機械㈱のエアードライヤーの取扱説明書を参照しています
▲「ドレン&エアードライヤー注意点」を一覧表示しました。こちらもご参考下さい。