エアーコンプレッサー冬のトラブル
冬に起こりやすいコンプレッサートラブルは?
ドレンの凍結に注意
冬のコンプレッサーやドライヤのトラブルの主な原因は、ドレン(水)の凍結です。
冬は夏と比べると温度・湿度が低くなるため、トラブルが少ない季節ですが、
極端に温度が下がると、エアー(圧縮空気)の中に混じっているドレンが凍る場合があります。
これは断熱膨張による現象が考えられます。
空気には、①断熱圧縮、②断熱膨張という性質があります。
①断熱圧縮とは、外部から熱が加わらない状態で気体を圧縮する事です。空気を圧縮すると圧縮熱が発生します。エアーコンプレッサーが暖かいのも圧縮熱が発生しているからです。
②断熱膨張とは、外部から熱が加わらない状態で、気体が膨張する事です。圧縮空気が膨張(0.59MPaG→0MPaG)すると、7倍になります。 また、その時、温度が下がります。
この②断熱膨張する時に、ドライヤがうまく効いていないとエアー(圧縮空気)の中に混じっている水が凍る事があるのです。
ドレン凍結によるトラブル
圧力低下
まずは圧力低下のトラブルがあります。
例えば、屋外に近いような場所にコンプレッサーを設置すると、タンクの中のドレンが凍る場合があります。
また、ドライヤーで水が抜け切れていない場合は、配管がふさがって圧縮エアーが出てこない場合があります。
車整備工場なら、インパクトレンチなどが回転不足・パワー不足。
他の業種でもエアー機械やパワー不足、ライン停止なども出てきます。
モーターの破損
圧縮機本体の管路の中で接続管内にたまったドレンが、使用していない夜間に凍結し、朝のコンプレッサー運転時、接続管が凍結で流れない状態での運転にて、圧縮機室の破損が発生したことがあります。
ドライヤ内部配管破損
ドライヤ内部配管にたまったドレンが使用していない夜間に凍結し、水が氷になったことで容積増加による配管破損
他には、
生コンクリートプラントでの、「ゲートの開け閉めが出来ない」といったトラブルも。
エアーシリンダー開閉時に、断熱膨張で氷がエアーシリンダーに固着してしまうからです。
ドレン凍結を防ぐには
2℃以下にならないようにする
コンプレッサーメーカーの取扱説明書には、設置周囲温度について2℃以下にならないようにと記載があります。
2℃以下になりますと、ドレン凍結による故障の原因となります。
しっかりドレンを抜く
ドレンの凍結を防ぐためには、凍結防止の対策を行う必要があります。
一番はドレンをしっかり抜く事です。
配管内や機器類に残っていると凍結しやすいです。
年末年始などの長期休暇期間は、特にドレンを抜いてから休みに入るようにしましょう。
他には、ヒーターや保温材を配管に巻いたりなど対策をお願いします。
エアードライヤのトラブル
過冷却
「エドライヤーを取り付けているのに水が出る。工場のエアーラインに水が出る」
エアードライヤではこんなトラブルもあります。
過冷却という現象で、”冷凍式のエアードライヤー”を取り付けている場合に起こります。
冷凍式のエアードライヤーは、一般的に圧力露点が10℃以下です。
通常は圧縮エアーのラインにはドレンは出ません。
ところが、冷凍式ドライヤーで冷やした10℃以下になるエアー配管が箇所がある場合(工場棟と工場棟の間の露出配管など)、
外気が冷凍式ドライヤの露点以下の温度に配管がなった場合(例えば1℃)、その分わずかですが、ドレンが発生します。
防止方法
■露出配管に保温材を巻く。
■もっと露点の低いドライヤー、例えば吸着式のドライヤーを部分的に使用する。
この2点になります。
当店でも吸着式エアードライヤーを取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
吐出温度上昇が起こることもある
「吐出温度上昇」が原因でコンプレッサーやドライヤが
停止するトラブルが起こることもあります。
その場合は、ダストフィルターや吸込みフィルター等の 目詰まりが考えられます。
定期的に清掃することをおすすめします。
清掃の間隔は、使用環境・使用時間などで異なりますので 一概には言えませんが、 日頃からの点検・清掃を心がけて下さい。