コンプレッサーの省エネ対策を今すぐ始めよう

エアードライヤの選定方法

コンプレッサーは工場の電気代の20〜30%の割合を占めています。
特にエアーブローはエアーの消費量が多く、省エネの対象になります。
コンプレッサーの省エネ対策は、難しいことではありません。
誰でも簡単に取り組める、しかも日常的にできる省エネ対策がたくさんあります。
取組みを積み重ねると、コンプレッサーの性能や効率を高めるだけでなく、エアー品質や安全性も向上させることができます。

それでは、コンプレッサーの省エネ対策の具体例を紹介します。

工場全体の電力量

コンプレッサーの元圧力を下げる

元圧力とは、コンプレッサーが空気を圧縮する際の圧力のことです。
元圧力が高すぎると、コンプレッサーの負荷が増えて消費電力が上がります。
元圧力を見直すとは、使用する空気の圧力に合わせて、コンプレッサーの元圧力を下げることです。

また、元圧を下げるのが難しい場合は、レギュレータを使うのが良いです。
レギュレータは、コンプレッサーから流れてくる圧縮空気の圧力を任意の圧力に調整することができます。
これにより、コンプレッサーの負荷を軽減し、消費電力を低減できます。
消費電力が低減すれば、電気代も削減できます。

例:元圧力を0.7MPaから0.6MPaに下げた場合、動力(kw)は約7%も低減になります

エアーの流れ

元圧力0.7MPa

0.6MPaに減圧。

約7%電気代削減に!

簡単なエアー漏れ調査

コンプレッサーのエアー漏れ調査とは、コンプレッサーの配管や接続部分に空気が漏れていないかをチェックすることです。
エアー漏れがあると、コンプレッサーの効率が低下し、消費電力が増えます。
エアー漏れ調査は、定期的に行うことでコンプレッサーの性能を維持し、電気代削減に貢献できます。

エアー漏れの原因と対策

エアー漏れは、コンプレッサーの性能を低下させ、消費電力を増やすだけでなく、騒音や安全性の問題も引き起こします。エアー漏れは、以下のような部分から発生することが多いです。

ホースの破れや継手(カプラ)からの漏れ

要因
エアーホースやホース継手の劣化や⻲裂

定期的にホースや継手の状態を確認し、必要に応じて交換する

ドレーンフィルターやドレーンコックバルブからの漏れ

要因
ドレーンの中の遺物(錆など)がパッキンに付着したり、バルブが緩んだりしたことによるもの

定期的にドレーンを排出し、パッキンやバルブの状態を確認し、必要に応じて清掃や交換する

配管継手や機械の接続部からの漏れ

要因
配管継手や接続部が緩んだり、ずれたりしたことによるもの

定期的に配管継手や接続部の締め付けを確認し、必要に応じて調整する

エアーガンからの漏れ

要因
経年によりパッキンOリングがへたったり、摩耗したり、⻲裂が入ったりしたことによるもの

定期的にパッキンOリングの状態を確認し、必要に応じて交換する

以上のように、エアー漏れは、多くの場合、劣化や緩みなどが原因で発生します。
そのため、定期的な点検やメンテナンスが重要です。エアー漏れ調査は、コンプレッサーの性能を向上させるだけでなく、省エネ効果も得られます。

エアーホースに直径1mmの穴が空いてエアー漏れした場合、エアー圧0.6MPaの場合63L/min(3780L/Hr)エアーが無駄になります!

ダストフィルターと吸込みフィルター掃除

ダストフィルターと吸込みフィルターの目詰まりは、コンプレッサーの冷却システムにも影響を与えます。
夏場は、空気の温度や湿度が高く、コンプレッサーの発熱量も増えます。
このとき、 フィルターが目詰まりしていると、コンプレッサーの本体のオイルクーラーやチラーが十分に冷却できず、オーバーヒートする恐れがあります。
オーバーヒートすると、モーターのサーマルや過熱防止センサーが作動し、コンプレッサーが停止してしまいます。
これは、生産性や安全性に大きな影響を及ぼします。
そのため、吸込みフィルターの掃除は、夏場において特に重要です。

タンク内ドレンを毎日排出

タンク付きコンプレッサーを使う場合、毎日タンク内のドレン抜きをすることが望ましいです。
ドレンとは、圧縮空気中に含まれる水分や油分のことで、タンク内に溜まってしまいます。
ドレンを放置すると、タンクが錆びたり、ドレーンフィルターが詰まったりする可能性があります。
また、冬季にはドレーンが凍ってしまい、コンプレッサーの故障や漏れの原因になることもあります。
これらのトラブルを防ぐためには、毎日定期的にドレーン抜きをすることが大切です。

ドレン抜きは、手動で行う方法と自動で行う方法があります。
自動で行う方法は、ドレントラップやオートドレンバルブなどの装置を使って、ドレンを自動的に排出する方法です。
この方法は、手間がかからず、エネルギーやコストの節約にもなります。

タンク付きコンプレッサーのドレン排出テクニック

タンク付きコンプレッサーは、圧縮空気をタンクに貯めておくことができますが、タンク内には水分や油分などのドレンも溜まってしまいます。
ドレンが多くなると、タンクの容量が減ってしまい、圧縮空気が足りなくなります。
すると、コンプレッサーのモーターは、空気を使うたびに回り始めてしまいます。
これは、電気の無駄遣いになります。

そこで、タンク下のドレン抜きバルブを開いて、ドレンを排出する必要があります。
ドレンを排出すると、タンクの容量が回復し、モーターは必要なときだけ回るようになります。
これで、電気代も節約できます。

■関連ページ

エアーブローの元圧とノズル口径

特にエアーブローはエアーの消費量が多く、省エネの効果が大きいです。
エアーブローの元圧力とノズル口径について省エネ観点からまとめると、以下のようなポイントがあります。

POINT1

元圧力

必要な風速に応じて適切に設定することが重要です。元圧力が高すぎると、エアー消費量が増えてエネルギー損失が大きくなります。一般的には、0.6MPa程度で使うのが最適です。

POINT2

ノズル口径

必要な風量に応じて適切に選定することが重要です。
ノズル口径が小さすぎると、風速が低下してブロー効果が低くなります。
ノズル口径が大きすぎると、エアー消費量が増えてエネルギー損失が大きくなります。

参考までに、省エネガンの代表である「増幅タイプ」のエアーガンについても紹介します。

増幅タイプのエアーガン

ノズル内部で空気を吸い込んで高圧にして噴出させることで、高い風速と風量を得られるエアーブローの一種です。
空気消費量を抑えながら、強力なブロー効果を発揮するため、作業時間も短縮できます。省エネガンの代表として注目されています。

0.39MPaの場合

機器名 ノズル口径 空気使用量 圧力
エアーチューブ(4×6mm) 4mm 730L/min 0.39MPa
AG-6(アネスト岩田) 1.7mm 105L/min 0.34MPa

0.69MPaの場合

機器名 ノズル口径 空気使用量 圧力
エアーチューブ(4×6mm) 4mm 1,165L/min 0.69MPa
AG-6(アネスト岩田) 1.7mm 180L/min 0.69MPa

増幅エアーガン

機器名 ノズル口径 空気使用量 圧力
DS-3TK-J(明治) 2.2mm 350L/min 0.69MPa

空気消費量350L/min→吐出空気量1,100L/min

ノズル手元側を大きく開口し、大気を吸込み易い構造に。
空気消費量の約3倍の噴出量がノズル先端から出ます。

日常点検を行う

上記に紹介したことを日常点検として、定期的に行いましょう。
コンプレッサーの日常点検は、コンプレッサーの状態を確認し、異常がないかをチェックすることです。
点検することで、コンプレッサーの故障や性能低下を防ぐことができますし、コンプレッサーの効率を高めることで、エネルギー消費を抑えることができます。

また、以下項目もあわせて行いましょう。

異常音がしていないか。

コンプレッサーが正常に動いているかを聞くことができます。異常音がする場合は、モーターやベルトなどの部品に問題がある可能性があります。

油面量が適正か。

給油式コンプレッサーでは、油面量を定期的に確認します。油面量が不足すると、コンプレッサーの摩耗や温度上昇を引き起こします。油面量が不足している場合は、補充します。

他にも以下項目に注意しましょう。

■使わない時間帯は電源を切る
→例えば昼休みなど、使わない時間帯は電源を切り、エアーを使うときのみ電源を入れる
■インバータ化と台数制御
→大型のコンプレッサーをお使いの場合は、省エネ効果が大きいです。
■コンプレッサーの更新
→旧式のコンプレッサーから最新のコンプレッサーに入替も、エネルギー効率が高くなり、省エネ効果が大きいです。

■関連ページ
→省エネでコンプレッサーを選ぶコツはこちら