よくあるご質問

冬に起こりやすいコンプレッサートラブルは?

ドレンの凍結に注意

冬のコンプレッサー、ドライヤのトラブル防止

冬のコンプレッサーやドライヤのトラブルの主な原因は、ドレン(水)の凍結です。冬は夏と比べて温度・湿度が低くなるため、トラブルが少ない季節ですが、極端に温度が下がると、圧縮空気中のドレンが凍る場合があります。

この現象は、主に断熱膨張によるものです。空気には以下のような性質があります:

  • 断熱圧縮: 外部から熱が加わらない状態で気体を圧縮すること。空気を圧縮すると圧縮熱が発生し、エアーコンプレッサーが暖かくなります。
  • 断熱膨張: 外部から熱が加わらない状態で気体が膨張すること。圧縮空気が膨張すると温度が下がり、その結果ドレンが凍ることがあります。

ドレン凍結によるトラブル

圧力低下

圧力低下は、屋外に近い場所にコンプレッサーを設置した場合、タンク内のドレンが凍結することで発生します。また、エアードライヤーで水が十分に除去されていない場合、配管がふさがり、圧縮エアーが出てこないことがあります。

例えば、車整備工場では、インパクトレンチの回転不足やパワー不足などが発生し、他の業種でもエアー機械のパワー不足やライン停止が発生する可能性があります。

モーターの破損

圧縮機本体の配管内に残ったドレンが、夜間に凍結し、翌朝コンプレッサーを運転した際に、接続管が凍結して流れない状態で運転すると、圧縮機室が破損することがあります。

ドライヤ内部配管の破損

ドライヤ内部の配管にたまったドレンが凍結し、水が氷になって膨張することで配管が破損することがあります。生コンクリートプラントでは、エアーシリンダーが断熱膨張によって凍結し、ゲートの開閉ができないといったトラブルが発生することもあります。

ドレン凍結を防ぐ方法

設置温度を2℃以下にしない

コンプレッサーメーカーの取扱説明書には、設置周囲温度が2℃以下にならないよう記載されています。2℃以下になると、ドレン凍結による故障が発生する可能性があります。

しっかりドレンを抜く

ドレンの凍結を防ぐためには、定期的にドレンをしっかり抜くことが重要です。配管内や機器類にドレンが残っていると、凍結しやすくなります。特に年末年始などの長期休暇前には、ドレンをしっかり抜いてから休みに入るようにしましょう。

ドレントラップを取り付けて、自動でドレンを排出し、排出し忘れを防ぐことも有効です。

その他の対策

  • ヒーターや保温材を配管に巻く
  • 設置場所を保温する

エアードライヤのトラブル

過冷却

「エアードライヤーを取り付けているのに水が出る」「工場のエアーラインに水が出る」というトラブルが発生することがあります。この現象は、冷凍式エアードライヤーを使用している場合に発生する「過冷却」によるものです。

冷凍式エアードライヤーは、圧力露点が10℃以下であるため、通常はドレンが発生しません。しかし、冷凍式ドライヤーで冷却された圧縮エアーが、外気温度がドライヤーの露点以下に低下する場所(例えば工場棟と工場棟の間の露出配管)を通過すると、わずかにドレンが発生することがあります。

過冷却の防止方法

  • 露出配管に保温材を巻く
  • より低い露点を持つ吸着式エアードライヤーを部分的に使用する

当店でも吸着式エアードライヤーを取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

吐出温度の上昇によるトラブル

「吐出温度の上昇」が原因でコンプレッサーやドライヤーが停止するトラブルが発生することがあります。この場合、ダストフィルターや吸込みフィルターの目詰まりが考えられます。

定期的にフィルターを清掃することをおすすめします。清掃の間隔は使用環境や使用時間によって異なりますが、日頃からの点検と清掃を心がけてください。

【参考ページ】

この記事の解説者
石間 賢一
石間 賢一 / 株式会社三栄商会 代表取締役社長
業務用エアーコンプレッサーと関連商品・技術の分野で、60年以上にわたり豊富な実績を誇ります。 コベルコ・コンプレッサ㈱のサービス指定工場として、長年の経験と専門知識により、業界内で高い評価を得ています。
受賞歴:
■「コベルコ・コンプレッサ販売実績優秀賞」受賞
■Eストア主催「ネットショップ大賞2023」
 文具・ビジネス用品部門 第1位(3年連続受賞)